そら子の徒然帳

思い付いたときに、思うままに、書き留めたいものを書きます。

『明日の子供たち』有川浩 著

【書籍情報】
『明日の子供たち』有川浩
2014年 幻冬舎


【読書後の感想など】

私がこの本に出会ったのは、福祉の専門学校に、夜間通っていた頃。

昼間は掛け持ちでアルバイトをし、そのなかの職場の一つ ある職員さんが貸してくれました。

それから何年も経ち 読み返しました。

きっと その時と
響く言葉たちは大して変わらないのだろうな、と。

以前とは違う、学生ではなく社会人として、
住んでいる場所もライフサイクルも異なった環境ではあるのに

感動した場面も、刺さった言葉も、
また、なぞって それはそれで楽しく読みました。




『明日の子供たち』では、
児童養護施設を舞台に、新米職員として入ってきた
主人公三田村が子どもたち、時には先輩職員とぶつかり
傷つけあい、泣いたり笑ったりしながら 成長していきます。


小説のなかの子どもたちには、大人びた子もいます。

大人にならざるをえなかった、そんな子どもたちの背景を
有川浩さんによって、
まるで目の前にその子がいて、
伝えようともがいているように
垣間見ることができます。



新米職員の奮闘を見ながら、
クスッと笑える場面もあり。

うるうるっと、じーんと心に響くこともあり。


そのなかでも、
私がこの小説で救われたこと。

施設長が、子どもに送った言葉。

『みんな自分の人生は一回だけなのに、本を読んだら、本の中にいる人の人生もたくさん見せてもらえるでしょ。』(86頁)

そのことを、「素敵だ」と言ってくれる施設長。


なんて、なんて素敵なんでしょう。

私も 本を読むことで誰かの人生の一部分に似ている、
気持ちを教えてもらったり
学んだりする。

施設長にそう言われた本人、
そして私まで認められた気持ちになりました。

様々な本の詰め合わせ、良いとこ取りで
私という人間が成り立っていれば良いな思います。





今までも、これからも、
この小説を読むなかで、どれほどの人が
児童養護に関心をもってくれるでしょう?


一つの小説としても、様々な言葉が散りばめられていて
読んだ後には心がふわっと軽くなります。

また明日、現実を見るのは気が引けてしまうこともありますが、
頑張ろうかな、と思える作品でした。






こうやって文字にすることで、こんなちっぽけな私でも
誰かひとりにはこの想いが届くことを知っているので
出来ることをやっていきます。

だから、また、書きます。