そら子の徒然帳

思い付いたときに、思うままに、書き留めたいものを書きます。

『七緒のために』島本理生 著

初めての本の紹介は、島本理生さんの『七緒のために』について書かせて頂きます。


【書籍情報】

『七緒のために』島本理生
2012年 講談社出版

 

【読了後の感想など】

この本を知ったきっかけは、 『私が食べた本』村田沙耶香 著 を読んだこと。


島本さんの作品を読んだのは、この本が初めてなのですが
じわり、じわりと忍び寄ってくる、懐かしさ。

これは、なんなのだろうか ととても不思議でした。

 

高校生という、大人でも子どもでもない、ちょっと大人びた女の子たちに対し、


「扱いづらい綿菓子」(12頁)

 

と いうのです。 

 

ふわふわしていて、あまったるくて、すぐ溶ける。
儚いけどちょっと危なっかしい。

女の子同士の集まりは、ただただ甘いだけではないのでしょう。

 

読んでいるうちに、思春期の頃の揺らぎや、息苦しさを思い出しました。

その時、その瞬間でしか感じられない感情が きっと思春期にはたくさんあったはず。

大人たちに救いを求めようにも、どうやって手を伸ばしたらいいかわからない。
そんな気持ちを抱えながら、お互い傷つけ傷つけられ、救おうともがく主人公雪子と、七緒。


この物語の中では、二人の周りには何人もの大人が関わります。
いつだって、大人たちは子どもたちを助けてあげたいと思っている。そう感じられました。


しかし、思春期というのは、なぜああも悩み、苦しみ、どうしようもなく儚いのか。

 

「嬉しいとか、悲しいとか言ったら、それだけで、いい」(132頁)

 

とあるように、多くのことは、それに尽きるのだと思います。


彼女たちが、どうなっていくのか。
ふたりの少女の物語を、ぜひこの本の中で見守ってほしいと思います。


【おすすめの方】

・ゴールの見えない靄のなかにいる、10代の若者へ
・ねっとりとした少年・少女時代を過ごした大人たち


そんな方たちへ。ぜひ、読んでみてください。